□ヘブライ編 □カナ ン編 □バビロン編 □ペルシア編 □ その他編 


―太陽と死者の神の国から開放された流浪の民と、その民と契約を交わした地方神、そしてその使いたち。
         
         ・ヤハウェたん・





「光あれ!光あれ!あれ!え、ええいっ、もうっ!ありなさいようっ!! ありなさいってばあっ!!」
 
      
  (ヘブライ文字だから右から読んでね)
       YHWH 
 
 シナイ山の一地方神。
 傲岸不遜にして傍若無人、尊大で誇張癖があり、自分の実力を過剰に喧伝してしまっている。
 そんな性格が原因で失敗したりすることもしばしばで、カナンにやってきたのも、シナイ山で出会ったモーゼさんに対してついつい大見得を切って、エクソダ スの依頼を受けてしまったのが原因である。
 契約を果たすために、カナンの地の有力な神々を蹴落とそうと策略しているが、今のところ上手くいっていない。おかげで、少しずつ集まっていた部下の神や 精霊はほとんどが離れていってしまい、それを見たエクソダスグループからもその力を疑問視されてしまっている。現在は、唯一残ってくれた部下のサタンと いっしょに汚名返上の機会を狙ってカナンの万神殿に忍び込もうとしているが…
 性格は良くないが、困っている人を見ると放っておけないというとても意外な面もある。が、プライドの高さゆえか、あまりに自分ルールを作り上げてしまっ ているために、誰かにやさしくしたくてもできないというようなことも。
        

                  
・すきなもの・

 ・自分の都合よく動く世界
 ・自分の都合よく働く信徒


・きらいなもの・

 ・自分以外の神
 ・フィギュアオタク
 ・自分の名前を気安く呼んでくる奴  
 ・日曜日に休まない奴
 ・ひとごろし
 ・えっちなこと
 ・どろぼう
 ・うそつき
 ・遠慮と言うものを知らない近所の住人

 

・解説・

ツンデレキャラ。

唯一絶対の神様を、「その名はみだりに唱えてはいけない」としたり(しかも、その結果正しい呼称がどうだったのかわからなくなっちゃうほどに徹底)、その 姿を絵画や像で残したりしない、と決めた人は本当に頭がいい人だと思う。
おそらく、唯一神の名前や姿をある程度のタブーにしなければ、おそらくその名前は神聖なものではなく、一般名詞の一つとなり、その姿はまず間違いなく、コ ントに出てくるような、いかにもなギリシャ装束をまとったじいさんになっていっただろうから、多分、今現在の我々が感じる唯一神というものへのイメージは まったく違ったものになっていたのではないだろうか。
結局、唯一神の神秘性はこの方針によって増大し、その存在を普遍的なものとした一方、その真の姿や在り方といったものを奇妙奇天烈な方法で探ろうとする神 秘学のようなアプローチも現れたのだから、結果的にも大成功だったと言えるだろう。
 これが上手くいかなかったのが我が国日本で、せっかくキリシタンさんなどが他の神様と区別するために「天主様」という呼称を考えたにもかかわらず、「ま あ、神なんだし似たようなもんだろうて」というようなアバウト感覚で唯一神も八百万の神々も「神」で一括りにされてしまい、一般の人たちからすると、唯一 神は捉え所のないもの…というか、信者以外の人からすればどうでもいいものになってしまったのだ。
 もっとも、オタ付近ではさにあらず、特に90年代後半の某ロボットアニメ
(笑)のブーム 以降は唯一神周りのことを考える際にはグノーシス主義やらカバラ やら神秘学やらといった遠回りをしてからでなければその存在を捉えなくてはその存在を理解することが出来ないのではないか?などと考えるような風潮が出来 てきたように思う。
 そこで、そういった遠回りや大仰な説明をすっ飛ばして、ヤハウェという神さんをもっと単純に考えてみよう、とすると、そのオリジンである一神教以前、そ の信仰が芽生えた頃について思いを馳せてみよう―それがこの企画の出発点である。
 というのはまあ、嘘で、
 お話やら何やらに出てくると必ず悪役にされちゃうヤハウェさん(なんせ、唯一絶対の存在なんてのはラスボスにしか使えない設定だもの)がちょっと不憫 だったので、それじゃあ、一神教徒以外の人たちにも好かれるようなことを考えてみよう、と思ったのがはじまりなんだけど、結局は総スカン食らっちゃう、そ んな予感。

 デザイン的には描きやすさを追及しただけ。1年前に描いたときとはスパッツだったのに、今回はローレグに変 わっているけど、これには別に意味がなくて、た だ単に私が「スパッツはやっぱりミニスカートの下にはいているのが見えているのがいいのである」という真理に辿り着いたのでスパッツを廃止し、もうちょっ と露出の多いのに変えたくなっただけである。そうしたらなんだか、ミッドナイトブリス食らったアレックスみたいになっちゃった。けど気にしない。
父や母など存在しない唯一神(?)なので、おへそはない。ある方がかわいくて好きなのだが、そこはぐっとこらえる。
 そんなとこにはこだわるくせに、この当時のヘブライの人たちの想像する神様の姿が黄色人種なのは明らかにおかしいんだけど、そこはなんとなくですませた い。


              



             
          ・サタンさん・





「…地上を巡回しておりました。
              ほうぼうを歩き回っていました」

        SATAN       

現在のヤハウェたんの唯一の僕。
素直クールなツッコミキャラだが、誰よりもヤハウェたんのことを心配しており、主のために獅子奮迅の働きをしてくれる。
 一行がカナンにたどり着く以前には、支持率が落ちてきたヤハウェたんの株を上げるために、自分は邪悪な神を演じてエクソダスグループに襲い掛かり、それ をヤハウェたんがやっつける、というこれ以上ないというほどの自作自演作戦「オペレーション・泣いた赤鬼」を遂行したほどである。
 

・すきなもの・
 ・ヤハウェたん
・きらいなもの・
 ・とくになし


・解説・
 旧約聖書におけるサタン。
 その名前は「敵対者」という意味であり、旧約聖書の中ではサタンという単語の多くは天使や悪魔のようなキャラクターの名前ではなく、単に「敵」という意 味で使われている。
 キャラクターとしてのサタンはヨブ記などで登場し、ここでは神から使命を受け、人間を誘惑してその真価を試す役割を与えられた天使として登場し、後の悪 魔、魔王としての要素はまだここでは見ることが出来ない。
 これは、旧約聖書の時代においてはまだ一神教が確固たる概念として確立していなかったため、自分たちの教義の内側に明確な「神の敵」を必要としなかった ためである(つまり、この時代のヘブライの人々にとってみれば最大の敵は異教の神々であったのだ)。
 それ故にここでのサタンは神の忠実な僕として登場するのだ。
 あと、神と悪魔がコンビ組んでいるっていうのもバチ当たり的で面白いかな、と思ったのもある。
 
 デザイン的には、普通に天使にしてもヤハウェたんと並べたときに面白くないので、上の解説を無視していわゆる悪魔的なスタイルにしてみた。わかりやすさ 優先。額やネクタイの「666」の意匠にしても、これはこのカナンの時代よりも遥か未来にヨハネを名乗るどっかのおっさんによって書かれた「ヨハネの黙示 録」が初出の、これまた遥か未来に登場するローマ皇帝ネロさんを意味する数字であり、さらに言えば「その数字は人間をさしている」のだから、悪 魔の数字としてサタンにくっつけるのはありとあらゆる意味で間違っているのだが、そこは見逃して欲しい。
 あと、なんで左手がヘルボーイなのか、とか。
 

    
                 


             
          ・ベヒモス・





「食すなら一思いに、お肉が硬くなる前に」
        Behemoth       

 ヤハウェたんのペット1号。雄。
 温和な草食動物で、体力もそこそこ。
 本来はヤハウェたんが自分の創造神としての力を示すために創造されたものだったが、ヤハウェたん一行の旅が苦しくなっていくにつれて、非常食として扱わ れることに。それに伴い、「カバの肉はまずい」という豆知識からその姿をカバから象に変えられたとも。
 扱いが扱いだけに、その性格は当初に比べてどんどんシニカルになってしまった。境遇に通じるものでも見出したのか、ジョシュアと仲良くなる。
 
 

・すきなもの・
 ・たべること
・きらいなもの・
 ・たべられること


・解説・
 この時期(出エジプト〜カナン移住)のヘブライ人が象という動物を知っていたか、怪物として神格化するほど親しんで(恐れて)いたか、というと非常に疑 問。というわけで、本来ならベヒモスはカバや水牛などをモチーフにしたほうが正しいんだろうけど、そんなこと言ったらベヒモスの初出であろうヨブ記の起源 だってもっと後なんだろうから別にいいじゃないか。サタンなんて立場が無いじゃないか、ということでごまかしたい。
 余談。ベヒモスが象になった原因としてよく挙げられる説に、ヒンドゥーのガネーシャの影響というのがありますがどうなんでしょう。

    
                 


             
        ・レヴィアタン・





       「きょえー、きょえー」
       Leviathan       

 ヤハウェたんのペット。雌。
 元はカナンのヤムたんのペットだったのだが、主人の命を受けて宿敵バアルたんに挑んだところ、ほとんど相手にされず敗北。これがきっかけでヤムたんと大 ゲンカ。家出して、カナンを出ていってしまった。
 その後、しょんぼりしながら砂漠を放浪していたところをヤハウェたんと出会い、拾われる。これに恩を感じてヤハウェたんに付き従うようになったのだが、 ヤハウェたんの竜退治武勇伝の証拠として扱われたり、やはり非常食のように扱われたりと散々。純粋ゆえに自分の境遇をあまり不幸だと感じていないのは、彼 女にとって幸いなのかどうなのか。
 人懐っこい性格なのだが、自分の好きな人物(例・ヤハウェたん)が自分の嫌いな、もしくは知らない人物(例・ジョシュア)と仲良くするのを嫌う、という 意外と嫉妬っぽい面も。
 

・すきなもの・
 ・洗濯
・きらいなもの・
 ・変な新興宗教の教祖に変に持ち上げられて、「日本こそリヴァイアサン」とか言われたり、信者から貪ったお金で作った変な映画で特撮を駆使して登場させ られたりすること。


・解説・
 レヴィアタンのルーツはカナン神話における、バアルの竜退治。ここでのレヴィアタンは7つの頭を持った怪竜で、海の王子ヤムとも同一視(もしくは、海の 怪物リタンとヤムが習合されたもの)される。旧約聖書におけるレヴィアタンの記述は、この伝説をそのままアレンジして採用したものなのかは何とも言えない けど、ルーツが同一なのは間違いないだろう。
 レヴィアタンは、同じく旧約聖書に登場する海の怪物ラハブと同一視されるが、バビロニア神話のティアマットの配下に同名でおそらく同一の怪物ラハブが存 在し、このティアマットがマルドゥーク神に退治される神話もまた、上記の神と竜の戦い系のストーリーラインであるため、これとも関係性がある可能性も。

 デザイン的には多分、うちのぎりぎりのライン?




                ・ミカエルさん・


 「おお、悪の元凶よ、悪の創始者よ、
  悪は汝が叛逆するまではこの天上では誰にも知られず、
                名称さえなかった……の……だ?」
     Micher                  
 物語中盤になって現れる、自分を未来からやってきたと語るちょっと変な使途。
 しかし、いかんせん人手不足のヤハウェたんに猫の手でも借りたいということで使途に採用される。誰よりもヤハウェたんのことを尊敬しており、完全なる忠 誠を誓っている。
 怪しい出自故に胡散臭い目で見られるが、その実力は凄まじく、ほとんどすべての神々(当然、ヤハウェたんも含む)を超えている…ただし、本人曰く「この 時代ではエネルギーが得られない」とのことで、その神をも上回る力はなかなか発揮できないようだ。
           
 性格は誰にでも分け隔てなくやさしく、いたって真面目。真面目にも程があるほどの真面目で、ヤハウェたんのとんでもなく抜けた命令も何の疑いも持たずに 遂行しようとするほど。ほぼ唯一、ヤハウェたんがいじることのできるキャラなので、よく遊ばれている。
 主人公・ジョシュアに対しては、当初はヤハウェたんに変な虫がついていると警戒したものの、何故か非常に惹かれているらしい。しかし、同僚に当たるはず のサタンさんとの仲は最悪。また、他の神々に対しては一筋縄ではいかないなにかしらの感慨を抱いているようだ。


・すきなもの・
 ・ヤハウェたん
 ・ジョシュア
・きらいなもの・
 ・蛇


・解説
やっぱり天使もいた方が楽しいかな、ということで、ちょっと変化球的に有名どころさんにご登場していただくことに。
未来からやってきた、ということで、衣装も未来的…というかプラグスーツにしてみたけど、いつから来たんだ、という感じに。肩と腕は何故か真ゲッター1 そっくりなのには何か意味があるんだろうか。いや、ない。

 



             ・ベリアルさん・


            「訴えてみましょうか」

         Belial         

 自分をバビロニアから来た神と称する謎の神性。
 ヤハウェたんの前に現れ、謎めいたことを言ったりする典型的な謎キャラ。
 その外見はジョシュアに似ている。が、何故かは不明。


・すきなもの・
 ・不明
・きらいなもの・
 ・不明

・解説
 ベリアルは「無価値」「無頼」というネガティブな意味のヘブライ語が、そのまま人格を与えられて、一つの悪魔として確立したものだとされている。そう いった意味ではサタンと似ているのだが、こちらは天使として現れたことがない分、より純粋な悪魔らしい悪魔といえるかもしれない(もっとも、旧約聖書に現 れる「サタン」という名前の天使は実質的には名前としてサタンという単語があてがわれているのではなく、あくまでもその場面における「敵対する者(=サタ ン)のような存在」といった意味で使われている可能性もある。また、ベリアルも最近ではかっては力天使であったとされることもある。これは、あくまでも神 の被造物である天使から堕天したのだ、とすることで、神の被造物とはいえない異教の神の存在を否定するため、という理由による部分が大きいだろう)。
           



                      
                    ・モーセ・


       「…おのおの自分の兄弟、友、隣人を殺せ」



     Moshe    

 エジプトで奴隷として扱われていたヘブライの人々を導き、エクソダスを成功させた。最大の預言者とされる人物である。
 エジプト脱出後、シナイ山にて一柱の神と出会った彼は、人々に不信感を抱かせることなく、効率良く大移動を行うために、その神こそが自分たちの神である と定めた。宗教的団結力によって人々の結束を高めようとしたのだ。
 結果、自分のことすらよくわからずにいた、そのシナイ山の神は、自身を「在るもの」と称し、彼との契約を受け入れた。
 そして、自分たちの神を得たヘブライの人々はよりいっそう団結力を強め、約束の地―カナンを目指したのだった。40年に及ぶ旅の末、人々はカナンへ辿り 着いたが、モーゼ自身はカナンを目前としながらも、没した。
 ヤハウェたんにとっては、自分の信者たちの代表であると同時に、自分を拾ってくれた恩人でもあり、父親や兄のような存在でもあった。現在のヤハウェたん の思想はモーセの影響を非常に強く受けており、それが排他性へも繋がっているようだ。


・すきなもの・
 ・十戒
・きらいなもの・
 ・異教徒

・解説
 モーセ自身は人格者として慕われていたが、統率者としての冷徹さ残忍さや、カルト集団ゆえの暴力性も備えて おり、ヘブライの民の中にヤハ ウェたん以外の神を祀る者達がいれば、即座に数千人を虐殺し、邪教徒とされる両親、兄弟、妻や子供を殺戮した者達を賞賛し妻子職に任命した。また、他民族 を虐殺し、略奪し、隷属させるといった行為も平気で行っていた。
 それはもちろん、ヘブライの人々の移動と生活のためであり、結果、彼らの団結力は数千年以上続く、確固たるものとなったのだが…
 

 趣味は海外旅行で、日本にも来たとか来てないとか(来てねえよ)

            





             ・ジョシュア・


「完璧な神様なら、
 たとえ敵だって、憎まずに仲良く出来ると思うよ?」
        Yehoshua                  
 行き倒れていた所をカナン万神殿侵入計画中のヤハウェたんに拾われた少年。本編(ってなんだよ?)の主人公である。    
 ただの人間なので怪力があるわけでも魔法が使えるわけでもなく、何の役にも立たないのだが、なんだかいろいろあって万神殿潜入後のヤハウェたんと行動を 共にするようになるっぽい。
 基本的に心優しくおとなしい準ショタキャラなので、なんか色々良い事を言ったりしてヤハウェたんのツン←→デレゲージを動かしたりとかするんだと思う。
 見た目とは裏腹に、意外と大食らいでお酒もいけるクチかもしれない。



・すきなもの・
 ・一日を何事も無く過ごすこと
・きらいなもの・
 ・とくになし

・解説
 旧約聖書に登場するヨシュアはモーゼの後継者としてヘブライの民を率いてカナンに攻め入り、カナンの各地を占領することになる人物である…のだが、それ では血なまぐさいし他の部族の神様とフラグを立てられないだろう、ということで、もっとニュートラルな立場の人物としてほとんど創作。ヘブライ語読みのヨ シュアではなく、英語読みのジョシュアなのもその辺りを考慮してみたからである(まあ、どっちにしろ、名前の意味は「ヤハウェは救い」なので意味は別に無 いのだが)。

 あと、もう一つ、
 ヤハウェたんとくっつく男の子は誰にするのが一番お似合いで、かつ罰当り的か、といえば、詳しい人ならとっくにお気づきなのでは。




             
      ・サムエル・




 「今、見よ、あなたたちが求め選んだ王がここにいる。主はあなたたち に王をお与えになる」

   Samuele       

 最後の士師、預言者。
 宗教的、政治的指導者としての才能を発揮したことから士師に選出された少女。
 ふとしたことからジョシュアと知り合ったのをきっかけに、ヤハウェたんとも直接かかわるようになる。結果、ヘブライの信仰形態のあり方に影響を与える預 言者としても活躍するようになった。
 その才気とは裏腹に、精神的にはいたって普通の少女であり、自らに架せられた重責に悩んだり、恋に悩んだりと毎日忙しい。

 
 
 
 

・すきなもの・
 ・親孝行
・きらいなもの・
 ・異民族


・解説・
 人間キャラとしては珍しく、の性別反転キャラ。
 聖書中のサムエルは人間的な描写が希薄で、ただの神の操り人形というか、最後の士師とイスラエルの王を見出すためだけに配置された記号的要素の強いキャ ラクター(まあ、そんな人ばっかりなんだけど)だったので、ここではジョシュアほどではないけれど、かなり勝手に作ってます(だから女の子にした)。
 私がこの話を考えたときに思った「やっぱり、普通の人間の女の子も攻略できるのが筋ってもんだよなあ」というギャルゲエロゲ的思考が昇華されたのがこの サムエルということになります。ジョシュア、サウル、ダビデと色々な男に関わったりする予定。

    
                 




             
          ・ダビデ・





 「主はわが牧者なり、われ乏しきことあらじ」

       David       

 統一イスラエルの王。
 純粋なヘブライ系の出ではないが、竪琴の名手であったことから初代イスラエル王サウルの側近となる。それをきっかけにして、卓越した戦闘能力、指揮能力 を発揮。イスラエル統一後もいまだ民族間での戦闘が続くカナン一帯で多大な戦果をあげることになる。
 謀略でサウルを貶め、サウルに代わってヤハウェたんと契約。イスラエル王となり、覇道を突き進む。
 肉体、頭脳ともに神々に匹敵するレベルの英雄。唯一の欠点は、ことあるごとに服を脱ぎだすこと。
 
 
 

・すきなもの・
 ・竪琴、横恋慕
・きらいなもの・
 ・サウル王


・解説・
 ダビデはユダヤ教において最重要視される人物の一人で、終末に現れるメシアもダビデの再来とされている。
 にもかかわらず、ダビデはあまり信仰者らしくない行動が目立つ人物でもあります。生まれで異民族アモリ人の血を引いているのはともかく、サウル王と対立 した際には傭兵としてペリシテ人の軍勢に加わるし、人妻を手に入れるために計略を立てたりするし(これはさすがに神に怒られた)。
 ここで個人的に重要視したいのは、神への信仰を何よりも重んじるユダヤ教であっても、やはり実利的な英雄を求めずにはいられないという民族的心理。イス ラエルにおける偉大な王といえば、ダビデとソロモンの二人ですが、どちらも一神教的宗教指導者と呼ぶには疑問の残る人物です。
 個人的な考えでは、おそらく、この当時のヘブライの人々の信仰形態は唯一神教ではなく、もしかしたら拝一神教ですらなかったのかもしれない。そんな状況 であればダビデやソロモンの業績は素直に賞賛されるものであったはず。ところが、聖書が製作され始め、ヘブライの伝説が公式にまとめられるようになった頃 になると、既に彼らは唯一神教の信仰者となっていたためにダビデやソロモンの扱いに少々困ってしまった。その結果、大量の預言者の逸話が必要になったので はないだろうか。
 こうして、本来の伝説に唯一神の風味を効かせて現在のイスラエル建国にまつわるエピソードが誕生したわけですけど、そうなると本来ならばダビデの業績も 神の教えに忠実なものではないということで人々の間で見直されそうなもの。だのに、それでもダビデの業績はユダヤ人から賞賛を受け続け、メシアの理想像と なる。
 厳格な一神教であっても、このように極めて人間的な配慮、妥協がちらりと見えるのはなにやら面白い。
                 



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